一般投資家向け

お金の悩みをファイナンシャル・アドバイザー(IFA)に相談するメリットは?

日本では、まだあまりなじみのないファイナンシャル・アドバイザー(IFA)※注1ですが、相談したらどのようなメリットがあるのでしょうか。

一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会の理事長である中桐啓貴さんにお話を伺いました。

――お金の悩みやお金の増やし方について、ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)に相談すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

中桐啓貴さん(以下、敬称略):「お金を増やすこと」を真っ先に考える方も多いかもしれません。それはもちろんのことですが、「どういう人生を歩みたいか」「今後、お金をどのように運用したいか」ということを、自分だけでなく、家族を含めて相談できるというのが、大きなメリットだと思います。

家族で人生の話や、それに必要なお金の話をする機会はなかなか持てないものですよね。ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)が、その仲介役やまとめ役になるイメージです。

――確かに、夫婦だけで話していると、何が正解なのかわからなくなって行き詰まることも多いかもしれません。間にファイナンシャル・アドバイザー(IFA)が入ることで、冷静に情報を整理できそうです。

中桐:そうですね。ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)へのご相談に際し、ご家族や夫婦で話し合われる機会を持たれる方も多く、「年に数回、家族で相談するきっかけができた」「お金の相談は、つい言い争いになりがちだが、建設的に話ができた」という声もよくあるようです。

家族のお悩みごとは、年月とともに変わっていきます。住宅購入や、お子さんの教育費、親御さんの介護など、実に幅広いお悩みに対して、長期的にアドバイスができることも、ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)の強みです。

そのため、「お金を増やす」アドバイスだけでなく、「お金を使う」アドバイスをすることもあるんですよ。

――「お金を使う」アドバイス? どんなことでしょうか。

中桐:例えば、ご主人に先立たれて一人暮らしをされている高齢の女性の場合、「お金はたくさんあるけれど、使ってはいけない」と思いこまれているケースがよくあります。お友達と海外旅行に行きたいと思っても、大きなお金を使うことになるので控えている、そんなケースです。

「現在の資産と今後のライフプランなどを考えると、2年に1回くらい、ビジネスクラスで海外旅行に行かれても大丈夫ですよ」とお伝えすると驚かれます。

――それは、安心感が増しますね。世の中は、どうしても不安になる情報が多いので、「お金は貯めこまねば」と思ってしまう方も多いかもしれません。

中桐:そうなんです。どれくらい使っても大丈夫かというのは、一人ひとり異なります。マネープランに問題なければ、好きなことにお金を自由に使っていただいてこそ、人生が豊かになります。

お金の不安を解消するだけでなく、「この時期にこれだけ使っても大丈夫ですよ」という安心感をお届けできるのも、ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)ならでは、と思います。

■アメリカでは、お金のプロもファイナンシャル・アドバイザーに相談?

――アメリカでは、お金のプロも、客観的な意見を聞くために、かかりつけのファイナンシャル・アドバイザーに相談していると聞きます。

中桐:はい、日本では、誰かに相談することが少し恥ずかしいと思う風潮があるのかもしれませんが、アメリカ映画などを観ていますと、日常的にカウンセリングにいくシーンがあります。相談者が専門の知識や技術を持つカウンセラーとの対話を通じて、相談者の抱える困りごとの解決を図るということは、結構気軽にとらえられているように感じます。

自分のことは、意外と自分が一番わからないものです。第三者に見てもらい、アドバイスを受けることは、よりよい人生を歩むために必要なことではないでしょうか。自分ひとりだけで解決しようと思うと、忙しいなか、うまくいかないことも多いですしね。

■協会の会員であるIFA法人は「金融商品仲介業者」として内閣総理大臣の登録を受けている

――金融商品仲介業を営むには、金融商品仲介業者として内閣総理大臣の登録を受けること、日本証券業協会の外務員登録を受けることが必要なのですね。

中桐: 内閣総理大臣の登録を受ける際には、金融商品仲介業を適確に行うことができる知識及び経験を有しているか、また、管理体制を整えているかなどをチェックされます。さらに、お客様は委託元の証券会社等と取引契約し、お客様の口座は委託元の証券会社等が管理することとなっており、IFAがお客様のお金を直接取り扱わない点も安心感に繋がっています。

IFAは、基本的には転勤がなくお客様と長いお付き合いになりますので、「金融商品を売って終わり」ではありません。お客様のニーズやリスク、ライフプランに合った金融商品をお持ちいただいた後は、お客様の目標達成に向けてアフターフォローを行います。ゴールまで伴走することが大事なのです。

また、マーケットが大きく変動したときにお客様の不安を理解し、適切なアドバイスをベストタイミングでできるかどうか、も大事ですね。

ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は、日頃の面談を通し、お客様がどの金融商品をどれだけ持っていらっしゃるかを把握していますので、例えばリーマンショックやコロナショックのようなものがあったときに、「今は売らないほうがいいですよ」「すぐに売った方がいいですよ」というアドバイスを迅速に行うことができます。

商品を売って終わり、買って終わりの関係ではなく、何度もお会いしている間柄ですから、お客様からも「どうしたらいいでしょうか」と気軽に電話やメールをいただきます。

――大きな値下がりがあると、プロに相談できない方は、怖くなってすべて売ってしまうケースもありそうですものね。

中桐:はい、投資は基本的には続けていくことで価値が大きくなりますので、長い目で考えられるプロに伴走してもらうことが大切だと思います。

順調に増えているときも「相談してよかった」と言われますが、大きなショックがあってみんなが戸惑ってしまう状況になるときこそ「相談できて、安心できた」という声をたくさんいただきます。

資産運用をする際には、相場の波はつきものですので、よいときだけでなく、悪くなったときにどのようにサポートをしてもらえるか、その点も含めて相談先を選ぶことが大切だと思います。

※1 本コラムにおけるファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は「IFA法人所属のFA(外務員)」と「個人事業主としての金融商品仲介業者」の総称であり、金融商品仲介業者の外務員を指します。