一般投資家向け

「資産運用したい!」と思ったら、どこに相談にいったらいいの?

「どうしたら上手に資産運用できるのかな」「投資は怖いし、自分に合った方法が知りたい」――そう思う方も多いでしょう。

資産運用の方法について、ネットにもたくさんの情報はありますが、相談したい場合はいったいどこにいけばよいのでしょうか。一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会の理事長である中桐啓貴さんにお話を伺いました。

――「資産運用したい」と思ったときに、いったいどこに相談すればよいのか、わからない方は多いようです。

中桐啓貴さん(以下、敬称略):そうですね。悩まれている声も多いですね。例えば体調が悪くて、よくなりたいと思ったときに、「どこのお医者さんに行けばいいか」と悩むことにも似ていますね。

ちょっとした発熱や腹痛の症状なら、どこにいくべきか迷うことはあまりないと思いますが、もう少し深刻な症状が出た場合、近くのクリニックか、大きな病院か、また何科にいけばいいのかと悩むのではないでしょうか。

そんなとき、信頼できる「かかりつけ医」があると安心です。いつでも駆け込めることができて、どんなことにも相談に乗ってもらえるほか、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してもらえる。日頃の診察を通して把握している患者さんの状況を踏まえて、最善のアドバイスをしてくれる相談相手がいれば、安心感が増すと思います。

今はネット検索をすれば、情報はいくらでも出てきますが、「自分の状態に合っている内容かどうか」を見極めることが難しいと感じます。

中桐:お金に関しても、自分のことをよく知っていて、オーダーメイドで最善のアドバイスをもらえる相手を探している人は多いですね。まさに「お金のかかりつけ医」のような存在を持っておくことが、これからの時代、必要ではないでしょうか。

短期的に1万円や10万円、100万円儲かるという話ではなく、自分の人生全体を考えた希望や目標を共有したうえで、今後どれだけお金を用意する必要があるのか、そのためにはどのような行動が必要なのか、そういったアドバイスを受けることが大切です。

■相談するべき資産運用の専門家とは

――お金の相談先というと、さまざまなものが考えられますが、代表的には、ファイナンシャル・プランナー(FP)、ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)※注1、金融機関などが考えられます。「それぞれの違いがよくわからない」という方に向けて、解説をいただけますでしょうか。

中桐:はい、「ファイナンシャル・プランナー(FP)」、「ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)」、「銀行や証券会社の営業員」、それぞれの概要と特徴について、お伝えしますね。

●ファイナンシャル・プランナー(FP)

FPとは「ファイナンシャル・プランナー」の略称で、相談者の状況に応じて適切な資金計画を立てつつ、実現していくための総合的なアドバイスを提供する「ファイナンシャル・プランニング」を行う専門家のことです。個人で活動している方もいれば、FP会社、保険会社や銀行等の金融機関に所属している方もいます。

日本FP協会のHPには、「くらしとお金」に関するアドバイスは多岐にわたるため、FPには年金や保険、資産運用、税制、住宅ローン、相続など、幅広い専門知識が求められます。そこで、「くらしとお金」に関する様々な専門知識を有していることを証明するのがFP資格です。と紹介されています。

FP資格には、国家資格である「FP技能士(1〜3級)」に加えて、日本FP協会が認定する「CFP®資格」や「AFP資格」などもあり、より上級の有資格者であればそれだけ高度で専門的な知識を有していると判断できます。実際に相談をするときには、どのようなジャンルを得意としているのか確認しておくといいでしょう。

●ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)

ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は、資産運用のコンサルティングだけでなく、提携している金融機関の金融商品(投資信託、株式、債券等)の仲介も行うことが可能です。
顧客やその家族の人生における目標達成を目指し、ファイナンシャル・プランニングに基づいた資産運用の実行支援とアフターフォローを行います。特定の金融機関の営業方針やその商品に縛られることなく、より中立的な立場から顧客の視点に立ってリスクに合った最適と考えられる商品を案内でき、証券口座の開設や実際の金融商品の買付も実行できる点や、多くは転勤がなく顧客との長期的な関係を維持しやすい点も魅力です。

●証券会社や銀行の営業員

大手の証券会社や銀行であれば、全国に支店があるなど、生活圏の中で接点があり、また、グループで連携した対応が可能であったり、引越し先にも支店があったりなどの利便性がある一方、担当者の転勤がある場合が多いので、長く担当者と付き合うことができない可能性がある点は留意が必要です。

どのアドバイザーや営業員であっても、その提案商品が自身のニーズに基づいたものであるか自身で確認することが肝要です。

――目的に応じて、自分に合った相談先を選びたいですね。

中桐:資産運用にはさまざまな方法がありますので、幅広い金融商品を知っている人、扱っている人に相談することで、選択肢も増えますし、より自分にあった方法を選べるのではないでしょうか。

――お金の悩みは、一回相談したら終わりではなく、健康をずっとキープしていくのと同じように、定期的にチェックしてもらうことも大切ですね。

中桐:アドバイスは一回で終わるものではなく、一人ひとりのライフステージに応じて変化するお悩みに対して定期的に行っていく必要があります。結婚、出産、住宅購入、退職というイベントだけでなく、離婚する、あるいは、体調を壊し収入が下がるなどといった事態にも遭遇することがあります。そうした事態に適切に対処していくためには、その都度、資産運用を含めて、お金まわりをしっかり見直すことが大切です。

当協会に加入しているファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は、一人ひとりと長期的に寄り添い、いつでも相談できる存在であると自負しています。まさに「お金のかかりつけ医」としてご活用いただけるのでは、と思います。

※1 本コラムにおけるファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は「IFA法人所属のFA(外務員)」と「個人事業主としての金融商品仲介業者」の総称であり、金融商品仲介業者の外務員を指します。